コラム

部下のミス、それ仕組みのせいです

こんにちは。
maoN(マオン)です。
これまで20年以上企業で働き、マネジメント経験を積みながら、現場の業務改善やチームビルディングに携わってきました。現在は、片づけや仕組みづくりを通じて、働きやすく成果が出る環境づくりのサポートをしています。
この記事では、私の経験をもとに「部下のミスが減らない本当の理由」について考えてみたいと思います。

何度注意してもミスが減らない理由、わかりますか?

「この前も伝えたよね?」
「確認してって言ったよね?」
「なんでまた同じミスをするの?」

職場でこんな言葉を言われたり、言ってしまった経験はありませんか?

定型業務であれ、クリエイティブな仕事であれ、
「ミス」は誰にでも起きるもの。
でも、それが何度も続くと、
つい「本人の注意力」や「意識の低さ」のせいにしたくなります。

けれど私は思うのです。
何度注意してもミスが減らないのなら、それはもう“注意の問題ではない”。
“仕組みそのもの”に目を向ける必要があります。


具体例:ツールが多すぎる現場

ある経営者の方から、こんな相談を受けました。

「現場に任せていたら、効率化のために良かれと思ってツールや手順が増えていた」
「お客様とのやり取りがInstagram、LINE、メール、公式LINE、すべてバラバラで…」
「返信したと思ったら、あっちに抜けていたり、記録が残ってなかったり」
「同じ内容をいくつも転記するから、時間はかかるし、どれが最新かもわからなくなるんです」

まさに、「ミス」と「時間のロス」の温床です。

でも、これを「うっかりしていた」「注意不足だった」で片づけてしまってよいのでしょうか?


問題は、「人」ではなく「仕組み」にある

複雑な業務フロー、ツールの多さ、二重チェック、三重チェック、
すべてが「ミスを前提にした非効率」を生み出しています。

結果的に:

・本来の目的にたどりつくまでに時間がかかる
・情報のズレが起きやすい
・そして「またミス?」と責められる

これはもう完全に 本末転倒 です。


「家の片づけ」もまったく同じ構造

これは仕事に限ったことではありません。
「家の片づけ」も、同じ構造を持っています。

たとえば、
朝の準備に時間がかかる。
外出前に、あれがないこれがないとバタバタする。
つい忘れ物(=ミス)をしてしまう。

そんなとき、
「私って要領悪いな…」と思いがちですが、
それは“能力”ではなく、“仕組み”の問題です。

モノが多すぎて、本当に必要なものが埋もれていたり、
動線が悪くて、取り出しにくく、片づけにくくなっていたり。

つまり、
どんなに意識を高く持っても、“仕組み”が整っていなければ、ミスは繰り返されて当然なのです。


大切なのは「注意すること」より「整えること」

「ミスしたら反省しなさい」
「次は気をつけてね」

たしかに反省は大切です。
でも、反省の矛先を“人の意識”だけに向けるのは、限界があります。

むしろ問い直してほしいのは、

「このミスを減らすには、どこをシンプルにできるだろう?どこか省いていい手順がないかな?」

その視点を持つことこそ、再発防止の一歩。
「整える」というのは、単に「手順を決める」ことではありません。
無駄な手順をなくし、シンプルにし、行動の数を減らし、余裕や見通しを持てる状態にすること。
つまり、働く人の気持ちや動きに“ゆとり”を持たせる環境をつくることです。
提案して動ける人こそ、チームを支える存在になります。


上司の立場だからこそ、できる視点がある

もしあなたがチームをマネジメントする立場なら、
“ミスをした人”に注目するのではなく、
“そのミスが起きた背景”に目を向けてほしいと思います。

その視点こそが、
一時的な再発防止ではなく、「人が育つ仕組み」をつくる力につながるからです。


筆者の経験から思うこと

私自身、正直に言うと、
グループリーダーや課長をしていた頃は、
メンバーのミスに対して「注意力が足りないのでは?」と感じることもありました。
「もっと気をつけて」「ちゃんと確認して」
そんな言葉で改善を図ろうとしていたのです。

でも、部長になって立場が変わったとき、
ようやく気づいたんです。

メンバーがミスをした時、
ミスが起きるような業務の流れを設計し、
クライアントと合意して進めていたのは、まぎれもなく“自分”だった。

そう気づいてからは、
注意を促すよりも、どこがボトルネックになっていたのかを見つけ出し、
仕組みを整えること、一つでも手順を減らすことに集中するようになりました。

注意力ではなく、構造で解決する。
それが本当の意味での「再発防止」だと、実感しています。


このメッセージを届けたい方へ

私はこのメッセージを、
今まさに現場で奮闘している「リーダー層」に届けたいと思っています。

チームをまとめる立場に抜擢され、
経験や知識がまだ追いついていないと感じる場面もあるかもしれません。

けれど、だからこそ、
今「構造で考える力」を身につけておくことが、
この先、部長や役員、個人で事業をされている方であれば、次のステージに進むための土台になると信じています。


私自身の想いとして

私は、「整えること」で、
仕事の質も、人間関係も、日常の心地よさも変わることを体験してきました。

だからこそ今、誰かが責められてしまう。
あるいは、誰かを責めたくなってしまう、
そんな構造そのものを、変えていきたいという思いでサポートをさせていただいています。

この経験が、どこかで誰かの力になれますように。

これからも、片づけや仕組みづくりを通じて、
成果が出るだけでなく、心も健やかでいられる。
そんな働く環境づくりを支えていきたいと考えています。


まとめ:仕組みを変えれば、人も成果も変わっていく

「現場がうまくまわらない」のは、
誰かが足りないのではなく、仕組みが複雑すぎるだけかもしれません。

仕事でも、暮らしでも、
うまくいかないときほど、
「注意する」「反省する」だけでなく、
「人ではなく、仕組み」に目を向けて、
「整える」「シンプルにする」ことをされてみてください。

それが、あなた自身と周囲の方が、もっと穏やかに、心地よく、そして楽しく仕事ができるようになる、
いちばんの方法だと、私は思います。

このコラムがどなたかのお役に立てますように、願いを込めて。